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<雑誌>「Forbes日本版」2007年8月号

<雑誌>「Forbes日本版」2007年8月号

「Forbes日本版」2007年8月号に掲載されました。

介護の現場で最も必要とされている「事故予防ノウハウ」を徹底指導。
「初日から使える」派遣スタッフを提供することで、介護の質の向上を目指す。

株式会社ONE TO ONE
代表取締役社長
根津 良幸(ねづ・よしゆき)

「働く一人ひとりがやりがいを持てる環境を創造し、介護業界を牽引していきたい」

即戦力の介護・看護専門の人材を派遣
「介護」を「人」から変えていく

<質問者>介護・看護スタッフ専門の人材派遣会社ONE TO ONEを立ち上げた経緯を教えてください。

私は、01年に設立した特別養護老人ホーム「ハートかしわ」の統括施設長として、介護の現場に携わってきました。そこで実感したのは、介護・看護スタッフの確保が、施設を運営するうえで最大の課題となっていることです。景気が拡大基調にある最近は特に、より労働条件のいい業種に人が流れており、どの施設でも人手不足が深刻化しています。

入居者3人に介護者1人という国の人材配置基準を守るために、多くの施設は派遣会社の協力を得ないと運営が成り立ちません。しかし、ここに大きな問題があります。

<質問者>どのような問題があるのですか。

介護職の志望者は少ないうえに、ようやく人を集めても、知識・経験が不足していることがほとんどです。そのため、派遣先の施設が多忙な業務の合間に教育・指導を行っているのが実情です。

近年、介護の現場では知識・経験の不足が原因で起きる事故が、信じられないほど増えています。介護の質を高めるしかありません。そこで、現場を熟知している自分たちで派遣会社を立ち上げようと決めたのです。

<質問者>「人材の質」をどのようにして高めていくのですか。

大きく分けて3点あります。

まず1点目は、現場に即した教育の徹底です。「入浴」「食事」「排せつ」といった3大介護だけでなく、感染予防や救急救命を加えたカリキュラムを5日間かけて徹底的に教え込みます。最後にテストを行い、合格レベル(500点中350点)に達した人だけに認定書を与えて、派遣するシステムです。

2点目は、派遣スタッフのフォローアップです。派遣期間中にきめ細かく相談できるのはもちろん、半年ごとに派遣先から戻して研修を行い、350点を割ったら派遣を中止するなど、高いレベルの維持に努めます。

3点目として、私だけでなく当社の役員全員が介護の現場経験があります。「ハートかしわ」立ち上げにかかわり、介護スタッフの教育を行なってきた経験豊かなメンバーがONE TO ONEを運営します。

私たちが培ってきたノウハウの正しさは、「ハートかしわ」が常時95%の稼働率と500人以上の待機者を維持するなど、質の高いサービスで地域の支持を集めてきた事実が証明しています。

1000件以上の事例を基に、事故防止のノウハウを確立

<質問者>5日間で実践的なスキルを身につけられるのですか。

即戦力の人材を短期間で育成できるのには理由があります。

私どもは、これまで実際に現場で起こった1000件以上の事故の記録を持っています。それらの事例を徹底的に分析し、「どうしたら事故を防げるか」という事故予防のノウハウを確立し、独自の教育プログラムに落とし込んでいます。その蓄積が当社の強みなのです。

例えば車いすを押す動作にも、気をつけるべきポイントがあります。停止した状態から動き出す際、被介護者が足を地面に降ろしていると、車いすに足を挟んでしまうという事故につながるおそれがあります。そうした注意点は、現場を経験していないとわかりません。

介護の専門学校で教えるのは、概念的なことが中心です。当社の講習は、実際に体を動かしながら身に付けるカリキュラムになっています。5日間のうち、最初の3日間は対話型の講義を行い、残りの2日間は講師とともに派遣施設に出向いて、実地訓練を行います。当社の講習を受ければ、未経験でも自信を持って仕事ができるようになります。

<質問者>営業展開をどのように考えていますか。

当社のスタッフは、社会福祉士、生活相談員、介護支援専門員、上級救急救命士などの資格を持つ現場経験者で構成されています。それぞれの専門分野で培った強力なネットワークを最大限に生かして、派遣先を拡大し、事業の拡大を図る考えです。

<質問者>抱負をお聞かせください。

介護業界では今、即戦力となる派遣スタッフが切実に求められています。ONE TO ONEは「『介護』を『人』から変えていく」のスローガンの下、介護・看護専門の派遣会社として、他の派遣会社とは一線を画した人材サービス提供していきます。そして、働く一人ひとりがやりがいを持てる環境を創造していきたいと考えています。

さらに今後、豊富なマネジメント経験を生かし、施設経営者のコンサルティング事業を拡充していく計画です。人材派遣から経営コンサルティングまで施設全般の支援を行うことで、介護業界における牽引的な役割を担える企業でありたいと考えています。

派遣スタッフがプロとしてプライドを持つきっかけに

斎藤むら子
琉球大学医学部大学院教授、早稲田大学理工学部大学院教授を歴任

ONE TO ONEの事業は、人材不足ならびに介護従事者のレベル低下に悩む介護業界を救う画期的な教育および学習システムを提供していると思います。現在、介護は人気がないそうですが、専門知識と技術を身につけ、相手の気持ちを理解でき、相互に信頼できる人間関係を維持できれば、プロとして成長し社会貢献ができるのです。

ONE TO ONEにはエビデンス(検証結果)に基づいた実践訓練の場として、即戦力を身につけるカリキュラムが用意されています。介護者および被介護者が共に学習できる機会・経験を共有することから、新たな発見や洞察力が育成され、派遣スタッフがプロとしてプライドを持つきっかけとなります。それは、介護の優秀な担い手をはぐくむことにつながります。これからの高齢化社会において、介護システムが脆弱では国民の幸せは成り立たないわけですから、ONE TO ONEの提示する教育および学習プログラムは大きな社会的意義のあるものと期待されます。

※この記事は「Forbes日本版」2007年8月号に掲載されたものです。


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